そんな想像をしたことはありませんか。
人間以外の何かを人間になぞらえることを
擬人化《ぎじんか》とよびます。
天保12年(1841)頃から、
浮世絵師の歌川国芳《うたがわくによし》は
猫を擬人化したり、
役者を猫にした作品を次々と発表していきます。
本展では猫の擬人化作品と、
それらを描いた歌川国芳を主軸に据えながら、
江戸時代の擬人化表現の面白さに着目します。
そのなかで、
なぜ国芳の作品にかくも惹きつけられるのか、
その魅力のありかを探っていきます。
猫をテーマに据えた浮世絵をはじめとする約130件の作品により、江戸時代における擬人化の世界を紹介します。浮世絵や猫を愛してやまない皆さんはもちろんのこと、現代の擬人化表現に関心を持つ方にも楽しんでいただけることでしょう。
ユーモラスで愛嬌ある姿に思わずクスリとすること、請け合いです。


大の猫好きとして知られる浮世絵師の歌川国芳《うたがわくによし》は、天保12年(1841)から集中的に猫の擬人化作品を描いています。その展開と後世への影響を紹介しながら国芳の魅力を探ります。機智に富んだアイデア溢れる国芳の作品をご堪能ください。
作品を見くらべることで理解を深める「くらべるクイズ」、江戸時代の貴重な作品を復元した「おもちゃ絵」に触って遊べるコーナーなど、展覧会を楽しむための仕掛けをご用意しています。見るだけでなく、さまざまな切り口から作品をお楽しみいただけます。

序章 猫を描く人
もしも猫が人であったなら。人が猫であったなら。
多くの人が抱く夢想ですが、突き詰めた絵師といえば、この人をおいて他にいないでしょう。根っからの猫好きで知られる浮世絵師の歌川国芳《うたがわくによし》を紹介します。
名古屋市博物館蔵(高木繁コレクション)
第1章 くらべてみる
展覧会の幕開けとして、擬人化して描いた作品と、共有されていたイメージを具体的に見くらべてみることで、擬人化表現の魅力を再発見していきます。
新版猫の玉のり 個人蔵
流行猫の曲鞠 個人蔵
第2章 擬人化の効能
擬人化世界の入り口としてまず、人ならぬものが主役の異類物《いるいもの》を、つづいて昔ばなしや戯画《ぎが》、風刺画《ふうしが》など、江戸時代から明治にかけての擬人化作品を紹介していきます。
これらを眺めていくことで、擬人化することによりどのような効能が引き出されるのか、感じていただけることでしょう。
第3章 おこまものがたり
天保13年(1842)、山東京山と歌川国芳によって、猫のおこまの一代記をあらわした合巻《ごうかん》(長編小説)『朧月《おぼろづき》猫《ねこ》の草紙《そうし》』が刊行され、人気をよびました。異類《いるい》(人にあらぬもの)の婚礼儀礼をつづった「嫁入物《よめいりもの》」の流れのなかに同書を位置づけながら、「おこまものがたり」の継承と広がりを明らかにしていきます。
第4章 人、猫になる
天保12年(1841)、歌川国芳《うたがわくによし》による団扇絵《うちわえ》「猫の百面相《ひゃくめんそう》」が流行します。猫を人のように描くのではなく、実在する人間の歌舞伎役者を猫に見立てて描くという趣向は、これまでにない新機軸でした。こちらは「もしも、あの有名人が猫になったら?」というアイデアが起点になったものといえるでしょう。
「猫の百面相」流行の様相と展開をみていきます。
団扇絵とよばれる浮世絵版画。その名のとおり、団扇の骨に貼って団扇として使用されました。
よく見ると骨の跡があるのが分かります。つまり、わざわざ骨から外して大事にしまわれた結果、今に伝わったことが想像できます。
[特集]
おしゃべりな顔、百面相
『朧月猫の草紙』や「猫の百面相」を発表する少し前から、国芳は「百面相」なる絵を手掛けるようになります。表情だけでその人がどのような状況に置かれているのかを滑稽に表したものです。「猫の百面相」との関係を探りつつ、国芳の「百面相」を見ていきます。
名古屋市蓬左文庫蔵(尾崎久弥コレクション)
第5章 国芳のまなざし
いかに対象を観察し、描くか。そしてアイデアをどのように膨《ふく》らませ、形にしていくか。「百面相《ひゃくめんそう》」で培《つちか》われた画才は、そのまま猫の戯画《ぎが》にも結実しています。国芳の観察力や的確な表現力とともに、次から次へとあふれでるユーモラスなアイデアをお楽しみください。
終章 もしも…。
展覧会の最後にもういちど、歌川国芳が擬人化猫作品を集中的に描きはじめた頃の作例をご覧いただきます。
浮世絵師、歌川国芳の溢れる才と魅力を存分にご堪能ください。
